2010年7月2日 君は大陸の果てに夢をみるか

 Saerum地域への移住がはじまって一年が過ぎた先月21日、この地域一帯の管理組織である「うんえい」より驚くべき告知が行われた。なんとアサン大陸の奥地でこれまでとは異なる風土を持つ地域が発見されたという。そして夏にも本格的な移住の斡旋が開始されるというのである。
 これまでも周辺地域において開拓が行われてきたが、今度はその風土に合わせて開発された全く新しい技術が導入されての開拓であり、詳しく知るため単騎、開発公社である「ちゅうごく」に潜入した者の話によると、建物から行政機構まで「まるで異国にきたようであった」とのことである。
 長らくこの地域に暮らしていた者にとっては、またしても悩ましい問題ができた。ここでもう少しがんばるか、すべてを捨て新しい地域に移住するか、はたまた乗り物「たぶ」を使って2つの地域を行き来するか、おのおの夏に向けて思うところがあるであろう。
 これを検討する材料のひとつになるかもしれないが、最近「うんえい」による不法滞在者の取り締まりが低下しているようである。われわれは移住するにあたり、本来は1つの戸籍のみが与えられ、また支度金としていくばかりかのダイヤや資源が渡されるが、この入国審査には隙があり、これを利用して複数の戸籍を取得、別々の者としてなりすまして暮らしているものがいるとのことである。
 はるか西にある「おうべい」大陸では脆弱性を利用する者のことを「はっかー」と呼び、盛況な地域では必ず「うんえい」が膨大なリソースを使って厳密な取り締まりを行い、数日に1回は「はっかーいずばんっ」とアナウンスがされ不法滞在者が駆逐されている。逆に「はっかー」が通りで見られるようだと、住民はすぐに不公平さ故に去り、地域はあっというまに衰退していく。
 このSaerum地域でも「はっかー」は残念ながらいる。中には入国審査を変装することで連続5回くぐり抜けたものが一年間も、しかも同一ギルドを構成している、などの事例があり、不公平な競争に脱力した多くの者が去っている。こんどの地域も同じようだとまた同じことが繰り返されるであろう。
 「うんえい」は開拓だけではなく、不法滞在者に対する捜査方法も常に新しく開発して、地域に法の元での平等、公平さを提供してもらいたい。これを実行することは、夏に来る新しい地域だけではなく、これまでの地域すべてにおいても利点がある。